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  • 「木はシンボルツリー1本でいいです・・・」で本当に良いですか?

    サフランにご相談に来られるお客様からのご希望でたまにお聞きします。

    「木は、シンボルツリーを何か1本あればいいです。」

    木はお世話が大変というイメージで、彩りとして1本だけ植えてほしいというご希望だと思いますが、植物とその周りを取り巻く自然界のシステムから見ると、人間にとっても、植物にとっても、1本だけを植えるより、複数で植えたほうが、良い関係を続けられると思います。それは、人間にとっては手が掛からず、植物にとっては自然に近い環境をつくって生育することができるからです。




    土の中に広がる菌糸ネットワーク

    植物は、根から土の中の水や養分を吸収して生育しています。その根の皮層組織内や周りには、「菌根菌(キンコンキン)」という菌類が共生していて、土壌中に菌糸を張り巡らし、「菌糸ネットワーク」というインターネットのような巨大なシステムを形成しています。

    この菌糸ネットワークは、養水分のような物質の運搬も行うため、植物は、菌根菌より菌糸ネットワークを使って、土壌中の、生長に必要な養分であるリン・窒素・カリウムをもらいます。逆に菌根菌は、植物が光合成によって生産された糖分・炭水化合物をもらい、お互いが必要な養分をやり取りして共生しています。また、植物は菌糸ネットワークを使って、菌根菌や他の植物から病害虫の情報をもらい、病気にならないように害虫にやられないように対策をとっています。植物同士、土壌中微生物は、会話をして助け合っています。

    山や野原の植物がお水やりや肥料をあげなくても育っているのは、このような植物と土壌中の共生微生物との「持ちつ持たれつ」な関係があるおかげです。

    庭の植物も色んな種類を複数植え、なるべく自然環境に近い状態につくることで、自然の力を使い、あまり手を掛けることもなく、長く心地良い庭を保てると考えます。


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    「菌根菌の働きと使い方 石井孝昭 著より AMFによる菌糸ネットワーク図」を出典 

     AMFとは、菌根菌の一種で、アーバスキュラー菌根菌のこと。


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    植物が成長を止める。

    複数本の木を植えると、お隣同士の木の葉っぱと葉っぱが触れると、「エチレン」という植物ホルモンの一種を出して、それ以上伸びないようにしているそうです。森の中で、木を見上げてみると樹冠(葉が茂っている部分)が重なっていないのは、エチレンの作用によるものです。これは、枝が重なって一方がもう一方の陰になって、十分な光が得られず枯れてしまうことも防いでいます。ということは、シンボルツリーとして木を1本だけ植えると、周りに他の植物がいないため、エチレンが出ないので大きくなる傾向があります。また、光を独り占めして取り込めることも大きくなる要因になるかと思われます。





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    イラストは、「図解 樹木の診断と手当て 著 堀 大才・岩谷美苗」 より引用




    掻い摘んでお話させていただきましたが、植物の世界はびっくりするような仕組みがまだまだ沢山あります。例えば、菌糸ネットワークは良いことばかりに使われないなど・・・この話は次の機会に。

    樹木を植えることで、見た目の彩りとしての役割だけではなく、過ごしやすい環境づくりもできることをご存知ですか?

    こちらへ→パッシブデザインを取り入れたお庭づくりと空間づくり 〜庭に木かげをデザインする。〜




    シンボルツリー1本で良い?


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