和の庭 苔と石と水鉢 神奈川県中郡大磯町S様邸
「南側のメインの庭に、和の庭を」という施主様のご要望にお応えして、苔と石と水鉢を中心とした、和の庭を施工させていただきました。施主様は大変勉強熱心で、お打合せの際、かなりの時間を「和」や庭についての雑談となり、お打合せ時間がついつい長くなってしまうこともしばしばでした・・・。そのおかげで、どんな雰囲気がお好きか、よく理解できた(と私は勝手に思っていますが)ので、パースはざっくり作らせていただき、現地で材料を確認しながら、アドリブでつくらせていただきました。
フォーカル(視点の中心)部分となる水鉢は、信楽焼です。渋い濃い目の色合いで、台座となっている御影石の縁石や石積みの色とコントラストになっています。筧から流れ出る水が、心地よい水音を奏で、やがて海(水が流れ落ちる部分)に敷いた砂利にゆっくりと流れ落ちていきます。
水鉢を照らすように、灯篭型のローボルトライトを設置しました。他にスポットライトも入っていますので、夜も和の雰囲気を存分に味わっていただくことが出来ます。ライティングの写真がまだありませんので、撮ったらまたアップさせていただきます。
縁側のようなウッドデッキの東側から見た景色です。手前にヤマモミジ、奥に2本のアオダモも植えました。自然な樹形の細いしなやかな木で、庭全体を柔らかい雰囲気で包み込んでいます。苔部分は築山状に盛り上げています。竹垣は人工ですが、茶系のこの色は違和感を感じさせないので、どうしても人工竹垣がいい、という方にはお勧めです。
筧は一度、くの字に曲がってから水鉢へ向かっています。手前に木が植わっているためまっすぐ通せなかった・・・という想定で作っています。曲がる所がちょっとした遊びごころで、フォーカルポイントにもなっています。
石積みの間からはシダ、周りにはツワブキやトクサ、セキショウなどの下草を適度に植えました。自然な感じになるよう、バランスに気を使う所です。苔も2,3種類を組み合せて貼っています。
西側からの景色です。手前右側には景石を据えて、築山のポイントにしています。飛石は丸いフォルムの川石です。京都の方ではよくこの川石が飛石として使われているようです。関東ではわりとゴツゴツしたフォルムの石が多いようですが、全体のバランスを見て、使い分けたいと考えております。
苔の緑を保つには、適度な日当たりと湿度、そして水はけという、ちょっと矛盾する要素が必要になってきます。竹垣により、半日は日陰になる場所のため、半日陰でも生育する苔を選び、土壌も工夫しています。肥料は必要ありませんが、樹木には有機物は必要ですので、そのあたりのところを考えて植え込んでいます。
これから徐々に育っていくモミジやアオダモ。施主様とともに、この庭を見守って生きたいと思います。これからもよろしくお願い致します。
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